本書の中心的なメッセージは「人はそう簡単に人を殺せない」という一見当たり前に見えるものだが、その内実は非常に衝撃的だ。第二次世界大戦における米軍の歩兵のうち、戦闘中にライフルを発砲した兵士はわずか10〜15%しかいない、というのである! 残りの者は自分や同僚の命が危うい状況であっても発砲しようとしなかったし、発砲した者の内にもわざと当たらないように撃った者が含まれている可能性がある。では兵士の大半は「腰抜け」なのか? そうではない。彼らは負傷者を救助したり弾薬を運んだりといった、より危険な「任務」を積極的に引き受けることによって発砲を回避しているのである。これは第二次世界対戦の米軍に特有なことではなく、むしろ歴史的にみて普遍的な現象である、と筆者は言う。平時ならソシオパスと呼ばれるであろうようなごく少数(本書によれば2%)の人間を除けば、人は自分の命が脅かされている状況でも人殺しを避けようとするのである。
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